皆さん、こんにちは。絵描き農家まごです。
今回は「よい土壌とは?」というテーマで、作物にとってのよい土壌について解説しています。
目次
土づくりで目指すべきよい土壌とは?
よい作物をつくるにはよい土づくりが必要とよく言われますが、土づくりで目指すべきよい土とはどんな土でしょうか。
後ほど詳しく説明していきますが、まずはざっくりまとめます。
作物をつくる上でのよい土とは、その作物が快適に過ごせる環境、構造を備えた土壌のことです。
植物にとっての土壌とは、私たち人間にとっての家にあたります。
皆さんが考えるいい家とはどんなものでしょうか。
日当たりのいい家?駅から近い家?素敵なキッチンがある家?
人によって答えは様々ですが、その答えは皆さんが、「これがあれば自分の生活が快適になる」と考える条件に起因していると思います。
植物も同じです。
自分が快適に過ごせる環境が整っていて、なおかつ自分の生長を妨げる要因がない。
そのような土壌が植物にとってのよい土壌です。
植物が快適に過ごせる土壌
では、具体的に説明していきますね。
植物が快適に過ごせる土壌というのは、
- 物理性
- 化学性
- 生物性
この三要素が良好な状態の土壌です。
土壌の物理性、化学性、生物性は相互に作用し合っていて、どれか一つでもよくない状態のものがあると、作物は健全に生育できません。
それぞれの要素は、どのような状態であれば良好といえるのか、一つずつ説明していきますね。
物理性が良好な状態とは?
物理性が良好な状態というのは、植物の根が楽に伸びる程度に柔らかく、しっかり張れるだけの厚みがあること。
排水性がよく、保水性があり、通気性が良いことなどが挙げられます。
根を伸ばすために必要な厚さと柔らかさがあること
土がガチガチに固いと根が伸ばせず、水や養分を効率よく吸収できませんし、しっかり根を張れる厚みがないと植物を支えることができません。
排水性と保水性がよいこと
また、排水性がよくないと大雨が降った時などに土の中が水だけで満たされてしまい、植物の根が酸欠状態になったり、腐敗したりしてしまいます。
それでいて保水性がないと、せっかく水やりをしてもあっという間に流れてしまい、何度も水やりをしないと植物が枯れてしまいます。
排水性がよく、保水性があるというと矛盾しているように聞こえますが、よい土壌にはこの2つを両立できる構造が整っています。
その構造のことを、団粒構造(だんりゅうこうぞう)といいます。
団粒構造は土壌粒子が適度な隙間をもった状態で結びついていています。
その隙間には、水分を保持する小さな隙間(液相)と水分を保持しない大きな隙間(気相)があり、その大小それぞれの隙間のおかげで水が通りやすく、それでいて必要な水分を保持できるという状況を実現してくれます。
通気性がよいこと
最後に通気性についてですが、こちらも排水性と同じで、根が酸欠状態にならないための必要な条件です。
根が酸欠状態になると、植物は必要な養分を吸収する機能が弱まり、生理障害や病害虫の多発、収量や食味の低下などに繋がります。
通気性については、さきほど説明した団粒構造がもっている大きな隙間が関係してきます。
団粒構造がもつ水分を保持できない大きな隙間(気相)が、適度な空気を保持して土壌の通気性をよくしてくれます。
化学性が良好な状態とは?
次に、化学性が良好な状態についてお話しします。
化学性が良好な状態とは、植物にとって適正な酸性度であること、保肥力があること、植物が必要とする養分を含んでいることです。
植物にとって適正な酸性度であること
雨が良く降る日本は土壌が酸性に偏りがちですが、ほとんどの植物が正常に生育するために適している酸性度は弱酸性〜中性です。
保肥力があり、必要十分な養分があること
保肥力があるというのは、土の中にある養分を、水に流させずに貯めておける力があるということです。
この力がないと、せっかく肥料をあげても植物が吸収する前に流失してしまって意味がありません。
また、植物が必要とする養分を含んでいるというのは、多すぎず、少なすぎず、植物の生長に必要十分な養分が土の中にある状態のことですね。
生物性が良好な状態とは?
最後に、生物性が良好な状態についてです。
生物性が良好な状態とは、
土壌生物(土壌動物や微生物など)が多様に生息し、活動が活発である状態のことです。
生息する土壌生物が多様で活動が活発であること
土壌に微生物が多様に生息していると、病原菌が土壌に侵入しても、土壌微生物たちが対抗してくれるので、特定の病原菌が急激に増殖することを抑えてくれます。また、土壌生物の活動が活発であれば、餌となる有機物の分解も早いです。分解された有機物は土壌に養分として残り、植物の生長に役立ちます。
おわりに
冒頭でも述べましたが、上記で説明してきた土壌の物理性、化学性、生物性は相互に作用し合っていて、どれか一つでもよくない状態のものがあると、作物は健全に生育できません。
「よい土壌」をつくるためには、土壌診断を行い、これら三要素すべての状態を把握して必要な対策をとっていく必要があります。