農業における土壌の役割

皆さん、こんにちは。絵描き農家まごです。


今回の記事では「農業における土壌の役割」について解説します。

農業における土壌の役割

農業における土壌の役割といえばもちろん、農作物などの植物を育てる栽培地となり、その生育を支えることです。


私たち農業者のことを生産者と呼びますが、本当に農作物を生産しているのは土壌で、私たちは土壌がもつ様々な機能を高めるために力添えをするサポーターといった方が正しいかもしれません。

具体的な役割は主に4つ

土壌が農作物の栽培地として果たしている役割は主に以下の4つです。

  1. 作物体が倒れないように支える
  2. 作物が必要とする水や酸素を根から供給する
  3. 作物が必要とする養分を根から供給する
  4. 急激な環境変化を起こさないように調整する 

絵描き農家まご

一つずつ詳しい内容を説明していきますね。

1.作物体が倒れないように支える

作物は太陽光のエネルギーを利用し、大気中から取り込んだ二酸化炭素と根から吸収した水を材料にして、光合成産物(炭水化物)を合成します。

そしてその光合成産物を葉の生長や果実の肥大などに利用します。

そのため、作物体は太陽の光を十分に受け取れる態勢を維持する必要があり、土壌に深く広く根を伸ばそうとします

その作物体と根を支えるのが土壌の役割です。

2.作物が必要とする水や酸素を根から供給する

作物が生存、生育するためには水が欠かせません。

かといって、過剰に水分があると、作物は根で呼吸ができずに死んでしまったり弱って病気になったりします。

土壌には水と酸素を保持する機能と、それを適度に根に供給する機能があり、作物の健全な生育を助けています。

3.作物が必要とする養分を根から供給する

土壌は作物にとって必要な養分を含み、それを保持しておく機能があります。

この機能によって、雨などによって養分が流れ去るのを防ぎ、徐々に根に供給することが可能となります。

4.急激な環境変化を起こさないように調整する

②と③で挙げたように、土には水や養分を作物に徐々に供給する機能を持っています。

この土壌の調整機能によって、作物は急激な環境変化を受けないように守られているのです。

この調整機能のことを緩衝能(かんしょうのう)といい、水や養分調整の他にも、温度変化の幅を小さくしたり、多様な土壌微生物によって特定の病原菌の急激な増加を抑えてくれる働きがあります。

土壌がなくても作物は栽培できる?

上記の土壌が担っている役割さえ果たせれば、土壌がなくても作物を栽培することは可能です。

その方法として、養分を溶かし込んだ水を利用して作物を栽培する水耕栽培という栽培法があります。

植物工場などの大規模な環境下における水耕栽培では、土壌での栽培よりも環境コントロールがしやすいため、作物にとってよりよい生育環境を実現できるという評価もあります。

しかし、その栽培法には施設や機械などを用意する初期費用にくわえ、光熱費や人件費などの莫大な維持管理費が必要となります。

また、土壌の緩衝作用がなく、培養液が直接根に接触しているため、化学的変化に弱く、病原菌による病害の蔓延も早いです。

土壌がなくても作物の栽培は可能ですが、土壌なくして世界の人口分の食糧を賄うような作物生産は現実的に不可能だと考えられます。

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